「内の関係」と「外の関係」について
ご質問頂きましたのでお答えします。
質問内容・・・「内の関係」と「外の関係」がどのように実際の授業に役立つか教えてください。
確かに分かりにくいですよね。内の関係と外の関係は英語と比較した場合分かりやすいと思います。
内の関係と外の関係は連体修飾節に関わります。日本語の場合、連体修飾節を作る場合、関係代名詞を用いませんよね。被修飾語と修飾語はどのような関係であれ、被修飾語の前に修飾語を付随させることで作ることができます。(帽子をかぶっている男の人・昨日買った鞄・テレビを見る時間など)
帽子をかぶっている男の人→男の人が帽子をかぶっている(被修飾語・男の人 は主語)
昨日かったかばん→昨日鞄をかった(被修飾語・かばん は目的語)
連来修飾節を文の形に直すことを文を開くともいいます。文を開くことができる連体修飾節は「内の関係」といいます。
しかし、
テレビを見る時間→・・・・・・(被修飾語・時間 は意味役割なし)
このような場合、文を開くことができません。「時間」は「テレビを見る」の必須成分ではありません。したがって、これは文を開くことができないため「外の関係」と言います。
内の関係は英語で考えた場合、関係代名詞を用いて表すことができます。
帽子をかぶっている男の人→a man who is wearing a hat
しかし、外の関係は関係代名詞で表すことができません。
テレビを見る時間→time to watch TV
さて、ここからですが、この知識がどのように日本語教育に活かされるのかと言いますと「みんなの日本語Ⅰ」第22課は連体修飾節を習得する課ですが、練習Aを見てみると練習A1~5は内の関係の連体修飾節、練習A6は外の関係の連体修飾節です。したがって、この課を導入する際、連体修飾節の文を適当に導入していたら、英語母語話者にとって、母語に直した場合、関係代名詞で表せる連体修飾節と関係代名詞で表せない連体修飾節があるのでその辺を気を付けて導入するといいのではないかということです。おそらく練習A6「テレビを見る時間」「買い物に行く約束」「彼がすわっている隣」などは英語母語話者にとっては作りにくいのではないかと推測できますね!!